ヘッドコーチインタビュー|強くなるだけじゃない。人としても成長できるチームに
2025.03.22
「子どもの成長の瞬間を直近で見届けられることが何より楽しいし、一番のやりがいです」
そう話すのは、BIRTH BPのヘッドコーチ、「桃コーチ」こと橋井桃子さん。BIRTH BPをどんな想いで運営し、チームの生徒たちと日々向き合っているのか。ヘッドコーチとして大切にしていること、チームとしての目標について、お話を聞きました。
頭で考えてするバスケットボールが楽しくて
- 桃コーチの、バスケットボールの経験について聞かせてください!
- 小学校3年生からミニバスケットボールクラブ(以下:ミニバス)に所属して、卒業後は中学校から大学までバスケットボール部でバスケットボールを続けました。その後もバスケットボールを続けたいと思い、母校のミニバスに戻って指導者や審判をしていました。現在はBIRTH BPを立ち上げ、ヘッドコーチとしてチームに携わっています。
- コーチ自身がバスケットボールを始めたきっかけは何でしたか?
- 姉がミニバスをしていたことです。自宅が小学校からとても近く、親が共働きで放課後も家にいなくて時間があったので、姉がクラブで練習しているのを一人で見に行っていました。姉やチームメイトたちがプレーしているのを見て、体育館の端っこで真似して「お姉ちゃんにできるんだったら私にもできる!」と思って、始めました。
- コーチになろうと思った経緯を教えてください。
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きっかけは、大学を辞めたことでした。大学を辞めればもちろん部活動は続けられなくなるので、当時は「とにかくバスケットボールを続けたい」という想いから指導者を目指すことにしました。バスケットボールに関わるのなら、社会人チームなどに所属して自らプレーヤーとして活躍する道もあったかもしれません。それでも、私は指導者を選びました。
高校・大学時代の顧問の先生がバスケットボールに精通した先生ではなく、その分自分たちで試合を展開し、練習メニューを組み立てていたことがこの道を選ぶ後押しになったのかもしれません。
自分で考えた戦略がうまくいったときの喜びが大きく、頭で考えてバスケットボールをすることが楽しかったんです。誰かに指示を受けるだけではなく、自分で考え自分で組み立て実行することにやりがいを感じていましたね。
- コーチをしていて喜びを感じる瞬間はどんなときですか?
- 子どもの成長を直近で感じられるときです。コーチをしていると「今までできなかったことが急にできるようになる瞬間」に立ち会えるんですよね。子どもたちには必ずその瞬間があるんです。成長するまでにたくさん練習してきているのも知っているし、彼女たちが苦労して身につけたプレーだからこそ、その先で泥の中から這い出ることができた、輝いている瞬間に立ち会えることに一番やりがいを感じます・・・やめられないですね。
自分たちでする「選択」が人間力を育む
- BIRTH BPのコンセプトについて教えてください!
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BIRTH BPは「バスケットを通じた選手の人間力の向上」「選手の自主性を尊重し、主体性を育む」、「勝ちにこだわること」をコンセプトとして掲げています。
「人間力」と聞くとすごく難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「問題解決能力」であり、ストレスに対してどう乗り越えていくかを思考する力のことです。そして、主体性とは当事者意識を持ち、自ら率先して行動すること。BIRTH BPでは、どんな場面でも当事者意識を持ち、問題解決に取り組める選手の育成を目指しています。
たとえばうまくいかないプレーや人間関係のことなど、さまざまなストレスや問題に直面したとき、ただ落ち込むのではなくて「どうすればうまくいくか」「どうすれば自分の目標とするところに近づけるか」と自ら考え解決する力を、バスケットボールを通して身につけることこそが、このチームの目指すところです。
- コンセプトを実現するために、ヘッドコーチとしてどのようなことを意識していますか?
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選手自身が考え、自分たちで選択できる機会を設けています。
たとえば、練習の質に課題を感じたとき、コーチが主導でするのではなく、選手同士で話し合ってもらいます。動きの精度や声の出し方などの問題があれば、時間を決めて「お互い高め合いながら目標に近づくためにチームとしてどう改善できるか」を考えてもらい、その結果を練習に反映します。
この「自分たちで練習の質を高められた」成功体験を積んでもらうことが、「自ら考え、仲間の意見を聞き、チームの足りないところを改善することで目標に一歩近づける」ということに気づくきっかけになると考えています。
- 初心者や経験の少ない生徒にはどのような教育を行っていますか?
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BIRTH BPはチーム全体で見ると3分の1が初心者です(2025年3月現在)。
経験者であっても初心者であっても伝えることは基本的に変わらないですが、ミニバスを小学校から続けてきている選手と中学校から始めた選手ではどうしても能力差が出てしまう部分があるので、「それでも自分たちがこのチームにいていいんだ」「もっとこのチームのために、自分のために頑張りたい」と思えるような声がけは心がけていますね。
恩師からの受け売りなのですが、役割分担を「カレーライス」で例えた話を生徒たちによくしています。ルーや具材がそれぞれ異なる役割を果たして一つのお皿が完成するように、バスケでも得点を取る選手、ディフェンスをする選手、サポートする選手など、みんなが重要な役割を担っています。試合に出る選手には感謝の気持ちを持ってプレーするよう伝え、出られない選手にはそのサポートがあるからこそチームが成り立っていることを伝えています。
- チームに所属する子どもたちにはどのように成長していってほしいですか?
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結果を出すことが100点じゃないと思っているので、たとえばバスケットボールで登りつめて日本代表になってほしいというよりは、もっと根本的な「人間力があって、主体性や自主性のある人」になってほしいと思います。
この先バスケをやろうとやらなかろうと、どんな環境でも同じように壁にぶつかってストレスを感じることがあると思うんです。でもそういったときに自分で問題解決ができるようになってほしいです。大人になってからも、今の時代はまだ企業に就職して集団の中で働いていく人が多いと思うので、その中で「自分は会社にどうやって貢献したらいいか」とか「お客様にどう貢献していくのか」というところを考えられる人になってくれればいいなと思います。
向上心のある人が集まるから「おもしろい」チームになる
- チームの雰囲気を一言で表すとしたら、どのような言葉がぴったりですか?その理由も教えてください。
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「おもしろい」です。これには2種類の意味があります。
ひとつは、バカ笑いするようなとことんふざけるおもしろさ。おもに、練習終わりや練習が始まる直前、遠征中の一コマなどのオフの場面で見られる姿です。それから、彼女たちの向上心や成長していくことに対するおもしろさ。言い換えるなら「興味深い」に近いかもしれません。本当に伸びしろのある選手ばかりで、みるみる上達していくところを見るのはすごくおもしろいですね。
「明るい」ではうっすらしているし、「真面目」だとカタすぎる。もちろんそういった側面もあるけれど、やっぱり「おもしろい」がぴったりです!
- どのようなタイプの生徒(性格の傾向など)がチームに合うと思いますか。
- 「楽しくバスケをしたい、仲間と和気あいあい楽しくやりたい」という人よりは「バスケットボールで上を目指したい、高みを目指せる仲間たちとバスケットボールがしたい」という厳しい環境で頑張りたい人たちの方が合っているんじゃないかと思います。向上心のある人が集まる、ストイックなチームではあります。
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地域に根差したチームであり続けたい
- ずばり、チームとしてのこれからの目標は?
- クラブチームの全国大会であるJr.ウインターへの出場を一つの目標として掲げています!選手主体で話し合って決めたBIRTH4期の目標です。
- クラブチームとしてこれから目指す姿について教えてください。
- 教員の働き方改革、部活動地域展開(地域移行)の地域クラブとして発足した当チームですが「バスケットボールをやりたい子どもたちの受け皿=地域に根差したチーム」であり続けたいと考えています。引き続き、目先の勝利だけでなく、バスケットボールを通じて人間力の向上を目指していきます。そして、大人になって社会に出た選手たちの将来を見届けていきたいですね。
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入会を検討している皆さまへ
- これから入会を考えている中学生や保護者の皆さまへ、メッセージをお願いします。
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HPをご覧いただき、ありがとうございます。U15世代は部活動・クラブ・Bユースが共存するカテゴリーで、出場大会等も異なります。2025年現在、過渡期真っただ中です。
入会を検討されているすべての選手に「色々なチームを納得がいくまで何度も体験をして、自分で決めましょう」と伝えています。今は選手自らが、選択できる時代です。
それでも選んでいただけるのであれば、BIRTH BPで一緒に成長を目指しませんか?
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(取材・執筆:小山 未来)